POP SONG
 アンサンブル・ノマドを主宰し、日本の現代音楽シーンの牽引者のひとりとして活躍する指揮者であり、プロデューサーであり、また著名なギタリストでもある佐藤紀雄は、この数年来公園通りクラシックスを舞台に、歌曲、オペラシーンで活躍する個性的な声楽家である吉川真澄と極めてオリジナルな小コンサートを重ねてきました。そこでは、若い作曲家たちの作品を含め、古典から現代まで、日本、欧米曲にこだわらない幅広いエリアから選んだ楽曲を自由に編曲し、ときには鋭く、ときにはユーモラスに愛らしく、実験的な演奏が重ねられてきましたが、そのなかでも、武満徹作品、なかでも武満が得意とし、数々の名曲を書きのこした、また多くの演奏家によって愛されてきた珠玉の歌、小唄ともいえる「POP SONG」は、再三にわたってとりあげられ、貴重なライブラリーを構成してきました。ここにご紹介するCD作品は、その集積の一端を記録とする目的で、佐藤紀雄の発案によって制作されたものです。

佐藤「僕は幸せなことに生前の武満さんを身近に知ってた。
武満さんは歌をよく口ずさんでてさ」
吉川「上手だったんですか」
佐藤「上手。すごく上手。音程もばっちりだし」
(CDの中のライナーで対談)

 また、佐藤は語ります。
 「このCDの編曲者達は作曲者より数世代も若い、現在それぞれの分野で活発な活動をしている人達だが、出来たものはスタンダード・ジャズ風、フレンチ・ポップ風、フォーク風などなど変化に富んだ味わい深いもので、武満氏が聴いたらさぞ喜ばれたことと思う。武満徹のポップ・ソングには既に石川セリさんによる名盤がありその後も多くのCDが発表されたが、吉川真澄の迷いのない、弾むような歌声は先行録音とは一味もふた味も異なる新鮮な魅力に溢れている」
 ちなみにCD4曲目におさめられた「Wainscot Pond-After a painting by Cornelia Foss」は、亡くなる直前に作曲され、武満の告別式において佐藤紀雄によって初演された楽曲です。

武満徹 POP SONG 収録曲

タイトルPOP SONG
アーティスト名吉川真澄 & 佐藤紀雄
発売日2010年8月13日
発売元ジパングプロダクツ株式会社
価格¥2,800(税込)
品番ZIP-0037
JANコード4582271150425

演奏者プロフィール

吉川真澄 Masumi Yoshikawa (ソプラノ)

岸和田生まれ。O型のうお座へび年。相愛大学音楽学部声楽専攻卒業。桐朋学園大学研究科声楽専攻修了。田中万美子、松本美和子、木村俊光、平山美智子の各氏に師事。これまでにオペラ「魔笛」のパパゲーナ役、「チェネレントラ」のクロリンダ役や「ロ短調ミサ」「浄土」のソリストを務める。また、高橋アキピアノドラマティック、アンサンブルノマド定期演奏会、サントリーサマーフェスティバル、小値賀国際音楽祭等に参加し、歌曲、オペラ、新作初演など幅広く活動し高い評価を得ている。2009年6月には、静岡音楽館AOIコンサートシリーズ・世界初演オペラ「ポポイ」(間宮芳生作曲・田中泯演出)にて入江舞役で出演し、好評を博した。第7回松方音楽大賞受賞。16年度文化庁国内芸術インターシップ研修生。

http://music.geocities.jp/yoshikawa_m_sop/

佐藤紀雄 Norio Sato(ギター)

1951年生まれ。71年現東京国際ギターコンクール優勝。以後ギター演奏と指揮活動を広範囲に行う。ギター演奏においてはクラシックレパートリーの他、武満徹、高橋悠治、近藤譲、松平頼暁、福士則夫、その他多くの現代作品の初演、また指揮者としても内外の新しい作品の初演を含め数多く手がける。海外からの招聘も多く、これまでにパリ、ニューヨーク、ハンブルク、ロンドン、メルボルン、北京、をはじめ北欧諸国、イタリア、メキシコなど世界各地で活躍する。97年にアンサンブル・ノマドを結成し、音楽監督として毎年定期演奏会を開く。このアンサンブル・ノマドでも海外から多く招かれ、ハッダースフィールド音楽祭、ガウデアムス音楽週間、モレリア音楽祭など主要な音楽祭に出演してきた。CDではギター・ソロ作品、アンサンブル・ノマド作品など多数リリース。
90年京都音楽賞(実践部門賞)、94年中島健蔵賞、96年朝日現代音楽賞。02年、アンサンブル・ノマドとして第2回佐治敬三賞を受賞。現在、広島エリザベト音楽大学、桐朋芸術短期大学、日本大学芸術学部で後進の指導にあたっている。

http://www.ensemble-nomad.com/

編曲者プロフィール

渡辺裕紀子 (1)(2)(6)(7)(10)(11)(13)(14)編曲

1983年長野県生まれ。5歳よりピアノ、12歳より原田敬子氏に作曲を学ぶ。長野県深志高校を経て、桐朋学園大学にて作曲、ピアノ、室内楽を学び、2007年に研究科修了。作曲活動の傍ら、音楽企画運営団体「同時代音楽塾」の代表を務め、主に若い世代の音楽家に対し共に学ぶ場を提供することを目的に企画運営活動を行っている。

田中やよい (3)編曲

1982年野県生まれ。桐朋学園大学音楽学部作曲理論学科(作曲専攻)にて、作曲・ピアノ・室内楽を学び、2004年卒業。その後同大学研究科に進み、2006年修了。 在学中より学内や作品展にて作品発表を行うと共に、現代音楽・演劇作品の初演の現場に携わる。

Momo (9)編曲

富山に生まれる。2005年に洗足学園大学ジャズピアノ科、バークリー音楽学院ジャズ作曲科を卒業。バークリーではジャズ作曲部門で秋吉敏子賞を受ける。2005年にカリフォルニアUCLAで行われるヘンリーマンシーニ インスティテュートに全額奨学金で参加。また2005年にはBMI jazz composers workshop に参加する。2006年秋に帰国。日本で北陸、関東を中心に様々なコンサートにピアニスト、作曲者、編曲者として出演する。ダンス、絵画、映像などとのコラボレーションも意欲的に行っている。

鷹羽弘晃 (15)編曲

2001桐朋学園大学作曲理論学科卒業。 第68回日本音楽コンクール作曲部門入選。室内楽、声楽を中心にした作品を多数発表。ヴェネツィア・ビエンナーレ、新しい歌を創る会、神奈川芸術文化財団などから委嘱を受ける。ピアノ演奏では1999年第9回日本室内楽コンクール第1位(ヴィオラとの共演)。指揮では、アンサンブル・ノマドや、日本現代音楽協会に客演するなど、ピアノ演奏も含め、多く邦人作品の初演に携わり、現代作品を中心に活動している。