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前作「blower」で曲間の「つなぎ」みたいなかたちで、フルートの演奏を素材にしてコンピュータの中で編集した小ネタをいれたら、意外に評判が良かったので、いっそのことCD全部を数人の作曲家たちによるDTMで作ったら………。
と考えたのが、この「不在の花」というCDを作る事になったきっかけだった。作曲家達に要求したのは「僕が演奏するフルートの音を素材にして自由なミックスを作って欲しい」と言う事だけ。
生活音やピアノの音の断片をコラージュ風に並べ、深くリヴァーブをかける事で、超現実の世界から聴こえてくるこだまのような、不思議なリアリティを持った音楽を作ってくれた米倉香織。
つるみさちよはオリジナルのメロディを軸に、重音奏法をふんだんに使った曲を書いて来て、更にそれを録音したものを、つぶしにつぶしてフィルターをかけ、独自のノスタルジーを演出している。
ただひとり「合成」というアプローチをしたVairocana(中川統雄)は、気の遠くなるような緻密さで組み合わせた弾性波=僕のフルートの音を、硬質なエレクトロニカに変質させて、アルバムのテーマに挑戦してくれた。
僕自身のミックスもいくつかある。ライヒの作品ではミニマル音楽特有の、くり返す短いフレーズをコピー&ペースト、少しだけ違う似たようなフレーズも同じ素材から生成するという、いわば「クローン道元」のモザイク模様がコンピュータの画面を埋め尽くすような方法で、単に多重録音する方法とはまた違った躍動感を出す事を試みた。
「Junk Food」は作曲の向山授自身も参加してのセッション。僕はダブルコントラバスフルートをはじめ、様々な雑多な楽器を演奏している。
CDならではのこの試み。歪んだ鏡面に焼きついた幻聴のフルートは、何を語るのか…。
木ノ脇道元 |